農業機械メーカーの国内ランキング|海外勢との違いも解説
2022/02/13
農業は人間が生活するうえで必要な業種です。そして作業を効率化し、農業を支えているのが数々の農業機械です。
農業機械は現代の農業において必要不可欠な存在なので、国内外問わず非常に多くのメーカーが製造・販売をしています。
では国内と海外のメーカーでは、それぞれどのような特徴や違いがあるのでしょうか?
農業機械メーカーの国内ランキングとともに、海外勢との違いについて解説します。
農業機械国内メーカー人気ランキング
日本にはさまざまな農業機械が販売されています。そして農業機械を製造するメーカーも数多く、中には世界的ブランドにまで上り詰めた国内メーカーもあります。
では農業機械の人気メーカーについて、国内メーカーのみに絞ってランキング形式でご紹介します。
なおシェア率や売上高を参考にしたランキングであるため、農業機械の種類や地域によっては人気度が変化するケースもあります。
用途に合わせてピッタリの農業機械を選ぶことをおすすめしますが、メーカー選びに悩んだ際にランキングを参考にしていただくと、よりよい製品に出会えるかもしれません。
1位:圧倒的シェア率と売上の「クボタ」
クボタは国内でもトップクラスのシェア率と売上を誇っています。
2020~2021年の農業機械メーカー全体の売上高が2.3兆円なのに対し、クボタの売上高は1.5兆円と圧倒的です。売上高を参考にしたシェア率は驚異の65.3%。
近年では海外進出をPRするテレビCMも放映され、国内のみならず海外でも強い支持を得ています。実際に海外売上比率は7割近くを締めており、海外メーカーを含むランキングでも、クボタは第3位にランクインするほど。
現在クボタは「For Earth,For Life」をスローガンに、農作業をより効率化できる製品の開発を積極的に行っています。
2022年には研究所の建設を施行予定であり、今後もますます時代の流れにあったニーズに応える製品が次々と開発されるでしょう。
2位:中古品人気も高い「ヤンマー」
ヤンマーのシェア率は21%で、国内ではクボタに次ぐ人気の高いメーカーです。3位と圧倒的差を付けており、中古品の人気も高いです。
近年は自動運転トラクターや収穫量のばらつきを可視化できるコンバインなど、最先端の技術を用いた農業機械を発売。
さらに世界最大手の農業機械メーカー「Deere & Company(ディア・アンド・カンパニー)」と提携しているため、農業機械の低燃費化が期待されています。
3位:田植機のパイオニア「イセキ(井関)」
イセキは100年近く続く老舗の農業機械メーカーで、ヤンマーに続くシェア率を誇っています。
国内第3位ではあるものの、じつは自走自脱型田植え機を日本で最初に開発したメーカーです。さらにいち早く日本型のコンバインを開発したのもイセキです。
また全産業対象の特許登録率は4年連続で1位、農水分野における特許公開件数は7年連続で1位を獲得するなど、よりよい農業機械の技術開発に力を入れています。
4位:3つのブランドを手掛ける「やまびこ」
やまびこは小型屋外作業機械では国内トップの実績を誇るメーカーです。
農業機械ではおなじみの「KIORITZ」「shindaiwa」「ECHO」の3つのブランドを手掛けており、海外でも多くのユーザーから高く評価されています。
グローバルトップブランドへの飛躍を目指していることから、今後も時代や地域の需要にマッチした農業機械の開発が期待できます。
5位:耐久性を追求している「三菱マヒンドラ農機」
三菱マヒンドラ農機はもともと1914年にサトーとして創業され、数々の新しい農業機械を発明してきました。
100年以上続く三菱マヒンドラ農機の農業機械は、効率性はもちろんですが、安全性と耐久性も追求しているので長く使えるのが特徴です。
農業機械自体の丈夫さだけでなく、定期的にメンテナンスを行って長く使うことを重視しているため、アフターサービスが充実しているのも三菱マヒンドラ農機の特徴と言えるでしょう。
農業機械海外メーカー人気ランキング
まずは海外メーカーの人気ランキングをご紹介します。
1位:Deere & Company(ディア・アンド・カンパニー)
アメリカの農業機械メーカーで、売上高・シェア率ともに世界1位の企業です。
代表的なブランドは、創業者の名前が付けられた「ジョンディア」で、日本ではヤンマーから購入することができます。
ちなみにジョンディアは、緑のボディで黄色のホイールが特徴のトラクターブランドです。JD-8Rシリーズは最高410馬力まで展開されており、超ハイパワーであらゆるパフォーマンスを可能にします。
2位:CNH Industrial(シーエヌエイチ・インダストリアル)
CNH Industrialはイギリス(登記上の本籍地はオランダ)の農業機械メーカーです。売上高のうち約6割をトラクター、約2割をコンバインが占めています。
イタリアを代表するカーブランドFIAT(フィアット)の傘下で、世界160カ国以上に4000以上の取扱店を所有するケースIHや、ニューホランドなど計10ブランドを展開しています。
3位:CLAAS Group(クラース・グループ)
海外を含むメーカーランキングで第3位に入るのはクボタですが、次点でドイツの農業機械メーカーCLAAS Groupがランクインします。
日本ではエム・エス・ケー農業機械から、コンバインやハーベスターを購入することができます。
農業機械海外メーカーと国内メーカーの違い
日本の農業機械メーカーは海外でも活躍できるポテンシャルを持っており、実際に次々と海外市場に進出しているメーカーが多いです。
とくにクボタは海外での売上の方が高く、世界第3位に君臨する世界的メーカーとなっています。
では国内メーカーと海外メーカーにはどのような違いがあるのでしょうか?
海外メーカーは広大な土地に対応した農業機械が多い
そもそも海外の農家は、日本では比べものにならないほど大きな田畑を持っているケースが多いため、広大な土地で効率的に作業できる農業機械が多いです。
とくにトラクターやコンバインなどは大型で丈夫、どんなパフォーマンスも可能にするハイパワーな高性能なモデルが多いため、中古でも人気が高いのが特徴です。
やはり大型の農業機械は国内メーカーの製品よりも評価が高く、実際に業績トップクラスの海外メーカーはトラクターやコンバインなどの大型農業機械が売上のほとんどを占めています。
コンパクトな農業機械はほとんど輸入されない
海外メーカーも国内メーカー同様に小型・中型の農業機械を製造・販売していますが、日本においては国内メーカーが圧倒的に強いです。
稀に海外メーカーの高性能な農業機械が輸入されることはありますが、輸出コストも高いのでコンパクトで低価格な農業機械はほとんど輸入されません。
そのため国内で出回っている海外メーカーの農業機械は、大型でハイパワーなトラクターやコンバインなどが多いです。
国内メーカーは海外向けブランドも展開している
海外でも高く評価されている国内メーカーは、海外の広大な土地や農作物に対応したブランドを展開しています。
たとえばクボタは機能をシンプルにし低価格を実現した海外向けのトラクターを2011年には販売しており、さらにインドの大手メーカー「エスコーツ」と組んで既存製品の半額ほどの農業機械を生産し新興国市場の開拓に取り組んでいます。
またイセキはタイや韓国など、それぞれの国にスポットライトを当てたモデルを展開し、多くのユーザーから支持を得ています。
失敗しない農業機械の選び方
国内外問わず農業機械はメーカーごとにそれぞれ特徴があります。そのためメーカーにこだわるよりも、今欲しいと思うところにマッチする製品を選ぶことがおすすめです。
農業機械を購入する際の参考になる、農業機械の選び方について解説します。
まずは目的と用途を考える
農業機械は家庭菜園やガーデニングに適したコンパクトなものから、農園など広い土地で活躍する業務用まで幅広い需要に応えられるほど、非常に多くのバリエーションが展開されています。
じつは本来は向いていない作業であっても、問題なく使える農業機械はたくさんあります。
しかし向いていない作業を行うと、効率が悪くなったり壊れやすくなったりするので、まずはどのくらいの規模でどのような場所でどう使うか、目的と用途を明確にしてから農業機械を選びましょう。
最低限必要な性能の目安を出す
農業機械の性能によって対応できる環境や田畑の広さが変わります。
トラクターや耕うん機などは馬力で性能を示していますが、馬力が大きければ大きいほど対応できる規模も大きくなります。なお新品・中古問わず馬力に比例して金額も上がります。
また機能もメーカーごとに異なります。充実していた方がいいと思われがちですが、やはり地域や規模などによって不要・必要な機能は異なるので、最低限欲しい機能に絞って探すとよいでしょう。
たとえば草刈機なら旋回せずに方向転換できるギアチェンジがあるか、田植機ならAIやGPSを利用して等間隔で綺麗に植えられる機能があるかなどです。
予算はランニングコストなども考慮して選ぶ
予算は農業機械を選ぶ際の大きな条件のひとつになりますが、本体価格だけでなく消耗品や修理費などのランニングコストもある程度予算を決めておきましょう。
たとえばチェーンソーならいずれ刃やオイルなどを変える必要があります。機種によって消耗品の価格は違うので、きちんと消耗品の予算も考えておくと失敗しにくいです。
初心者ならメーカーや見た目で選んでも問題ない
メーカーごとに性能や価格に差はあるものの、基本的な機能面においてはほぼ同じで、著しく優劣の差が出ることはありません。
ただし特定の機能についてはメーカーごとに大きな違いがあるので考慮すべき点ですが、初心者で規模が小さい場所での作業ならば、メーカーや見た目だけで選んでもとくに問題はありません。
予算やランニングコスト、修理可能な店舗が近くにあるかどうかなどがマッチしていれば、好みで農業機械を選んでも大きな問題はないでしょう。
農業機械のメーカー選びは用途に合わせよう
国内メーカーが製造・販売する農業機械は、基本的な性能に大きな差はないものの、メーカーごとに強みが違うので特徴的な機能に関してはそれぞれ個性があります。
そして海外メーカーの場合は、広大な土地に対応したハイパワーな農業機械が多く、コンパクトで低価格な製品はほぼ輸入されていません。
そのため基本的には国内メーカーの製品を用途に合わせて選べば問題ありません。
ただし海外メーカーの農業機械は高性能でハイパワーなので、農園の規模が大きい場合は検討するとよいでしょう。