トラクターメーカー別の中古相場を解説
2022/01/25
トラクターはさまざまな場面で使用できる便利な農機具なので、新品だけでなく中古もつねに需要があります。
そのため農機具販売店はもちろん、ネットオークションや中古車販売店などでも購入しやすいです。
トラクターは新品で購入するハードルが高い一方で、中古ならコストパフォーマンスがよいものが多数販売されているので、できるだけ費用を抑えて導入するなら中古を選ぶとよいでしょう。
そもそも中古トラクターはどのくらいの価格で販売されているのでしょうか?
メーカー別にトラクターの中古相場を解説します。
中古トラクターの相場が変動するポイント
トラクターは農機具の中でも比較的高額で、導入ハードルが高いですが、中古のトラクターならコストを抑えて導入することができます。
そして中古トラクターの相場はメーカーごとに大きく変化するよりも、トラクターごとのスペックで差があります。
中古トラクターの相場が変わるポイントは「馬力」と「年式」です。
メーカーごとの違いよりも、スペックによる違いの方が中古価格に大きく影響します。
馬力によって基本的に相場が決まっている
そもそもトラクター自体、馬力(パワー)によって価格の相場が決まっています。
たとえば新品のトラクターの場合、メーカーに関係なく「馬力×100,000円」を基準に本体価格が決められています。
そして中古の場合はだいたい3分の1程度の価格になるので、「馬力×30,000~40,000円」が目安です。
中古も新品も馬力が大きければ大きいほど価格高くなるのは同じなので、トラクターを中古で購入する際は使用目的を明確にして、必要な馬力が出るトラクターの中から購入を検討しましょう。
年式は古いほど安くなる傾向がある
馬力によって相場がある程度決まっていますが、やはり同じ馬力でも年式が古いトラクターの方が安くなる傾向があります。
同じ馬力なら安いほうがいいと思われがちですが、20年以上前のトラクターはパーツの生産・販売が終了していることが多いため、いざというときに修理できない場合があります。
整備が行き届いていない可能性もあるので、できれば比較的新しい年式のトラクターを選びましょう。
稼働時間が少ないほど高くなる
トラクターの寿命は「馬力×100時間」が目安です。中古トラクターの価格相場は新品の3分の1程度ではあるものの、稼働時間が少なければその分高くなります。
たとえば88馬力のトラクターで稼働時間が100時間ほどの場合、中古でも新品の3分の2程度の価格で取引されます。
寿命の3分の1も使用していないのでコストパフォーマンスはよいですが、一般的な中古価格の感覚で見ると高く感じるかもしれません。
メーカー別トラクターの中古相場を解説
トラクターの中古相場は馬力によって異なります。
もちろん状態や年式、稼働時間などさまざま要因によって、価格が上下することはありますが、メーカーごとにも多少の差があります。
メーカー別にトラクターの中古相場を、新品価格と比較して解説します。
クボタのトラクター中古相場
クボタは国内シェアNo.1を誇るメーカーで、部品も豊富に出回っているので中古でも安心して購入できます。
状態がよいものや稼働時間が少ないものも出品されやすいので、中古でトラクターを購入する際にぜひ検討しておきたいメーカーです。
新品の相場目安 | 馬力×115,000~125,000円前後 |
稼働時間が寿命の3分の1以下の場合 | 馬力×70,000~80,000円 |
稼働時間が寿命の3分の1以上の場合 | 馬力×30,000~50,000円 |
ヤンマーのトラクター中古相場
ヤンマーのトラクターはクボタに次いでシェア率が高く、コアなファンも多い特徴があります。
操作スイッチが使いやすいと評判で機能面にこだわりを持っているのはもちろんですが、デザインにこだわったモデルも販売されることがあるので、より楽しく農作業を行いたい人におすすめです。
新品の相場目安 | 馬力×105,000~110,000円前後 |
稼働時間が寿命の3分の1以下の場合 | 馬力×50,000~70,000円 |
稼働時間が寿命の3分の1以上の場合 | 馬力×30,000~40,000円 |
イセキのトラクター中古相場
現場の声をすばやく取り入れ、つねに新しいモデルを開発し続けているイセキ。
ほかのメーカーとの大きな違いは、車体が風景に溶け込むような爽やかな青色であることです。もちろん機能面にもこだわりを持っており、多くの農家から高い評価を得ています。
新品の相場目安 | 馬力×105,000~125,000円前後 |
稼働時間が寿命の3分の1以下の場合 | 馬力×70,000~80,000円 |
稼働時間が寿命の3分の1以上の場合 | 馬力×20,000~30,000円 |
中古トラクターを購入する前に注意するべき点
中古トラクターの価格相場はメーカーごとに大きな差はありませんが、やはりスペックがそれぞれ違うので価格ばかりを見るのではなく、それぞれの状態やスペックなどを参考にしてください。
どこを見て購入を検討するべきか、中古トラクターを購入する前に注意すべき点について解説します。
できれば使い慣れたメーカーの車種を選ぶ
一般的な自動車はどのメーカーでも運転操作は基本的に同じですが、トラクターの場合はメーカーごとに操作が違う部分が多いです。
たとえば作業機の上げ下げはレバーかスイッチかなど、よく使う機能部分でも操作が違います。
そのためできれば使い慣れたメーカーのトラクターを選ぶと失敗しにくいです。
トラクターインプルに合わせて選ぶ
トラクターの作業機であるトラクターインプルは、メーカーによってヒッチが異なります。
違うメーカーに乗り換える場合、ヒッチを変えなくてはならないので、トラクターを複数台所有している場合は、手持ちのトラクターインプルに合わせてメーカーを選んだ方がコストを削減できます。
ただし20馬力以下の小型トラクターや、年式が古いトラクターの場合は、作業機が直接取り付けられているので、トラクターインプルに合わせてメーカーを選ぶ必要はありません。
稼働時間を見て選ぶ
どんなに丈夫に作られているトラクターでも、使い続ければいずれは寿命が訪れます。
トラクターの寿命の目安は「馬力×100時間」です。トラクターに付いているアワーメーターで、エンジンをかけていた総累計時間がわかります。
総累計時間はいわゆるトラクターの稼働時間で、「馬力×100時間-総累計時間」で寿命の目安を把握できます。
中古トラクターの価格相場は新品の3分の1程度なので、寿命が3分の1以上残っているトラクターを目安に購入しましょう。
整備状況とアフターケアの有無を確認する
中古トラクターを購入する際に重要なポイントが整備状況です。
トラクターは前の持ち主がきちんと整備を行っていたものほど、よい価格が付けられます。一方未整備のトラクターは、あまりよい価格が付けられないため、相場よりも安くなる傾向があります。
同じメーカーで同じ馬力のトラクターなら、安い方を選んでしまいがちですが、未整備のトラクターはいつ調子が悪くなるのか、調子が悪い部分はあるのかすら把握できていない状態です。
場合によっては重要な部品が破損していて、修理費用が数十万円必要になることもあるので、整備状況の確認は忘れないようにしてください。
ちなみに前の持ち主がどんなメンテナンスを行っていたか把握できない場合でも、業者が大型農機具整備施設の工場認定を取得していたり、農業機械整備士の資格保有者が在籍していたりする場合は、きちんと整備されたうえで販売している可能性が高いです。
また中古トラクターには付いていることが少ないですが、整備状況が確認できない場合は。アフターケアの有無を確認しておくと安心できるでしょう。
アタッチメントの有無を確認する
トラクターはさまざまな農作業で活躍する農機具です。アタッチメントを取り替えることで、違う作業を行うことができます。
そしてアタッチメントは「2点リンク」と「3点リンク」と2種類の取り付け方法があります。
2点リンクは15馬力以下の小型の規格で、ほとんどのトラクターは3点リンクです。
2点リンクのアタッチメント流通が少ないので、馬力自体は問題がなくても、さまざまな作業に使用するのであれば3点リンクのトラクターを選びましょう。
部品の年式を確認する
たとえば2000年式のトラクターでも、20年以上前の年式の部品を使っている部分もあれば、製造年に近い比較的新しい年式の部品を使っている部分もあります。
どこをどのような部品で作っているかはメーカーによって異なりますが、古いトラクターはその分部品の年式もさらに古いものになっているので、製造・販売が終了していて修理できない場合があります。
そのためトラクター本体だけでなく、部品の年式も確認しておきましょう。
ひとつひとつの部品を確認することは難しいですが、動作に関係する部品は確認しておいたほうがいざというときに備えられます。
もし製造が終了している部品を使用していても、新しい年式の部品で代用可能なのかも調べておくとさらに失敗しにくいです。
中古トラクターの相場は新品の3分の1程度が目安
中古トラクターの相場はだいたい新品の3分の1程度の価格です。ただし稼働時間が短い場合は3分の2程度の価格になります。
なおトラクターの価格は馬力によって変動します。
基本的にどのメーカーも新品の場合は「馬力×100,000円」程度が目安で、中古の場合は稼働時間が短い場合は「馬力×70,000円」前後、稼働時間が長い場合は「馬力×30,000円」前後が目安です。
メーカーごとに大きく相場が変わるわけではないので、中古で購入をするなら使い慣れたメーカーや稼働時間を考慮して選ぶとよいでしょう。